若いころに好きだった歌手が、年老いて下手になった歌を聴くのはなんだかつらい。NHKの広瀬アナ司会の懐メロ番組でそれを痛感することが多い。
まずは声量が落ちる。音程が悪くなる。リズム感がなくなる。ロングトーンがあんなに気持ちよかった人がどうしてこんな声になってしまうのか、聴いていてこちらが苦しくなってしまう。
どうしてこんなに下手になってしまったのにまだ歌うのだろう? もちろん生活のためということもあるだろうけれど、自分の実力がどれくらい落ちてしまっているのか、この人たちはちゃんと把握できているのだろうか?不審に思う。
ひょっとしたら自分では気づいていないのかもしれない。年を取れば耳だって悪くなるだろう。日常生活には支障をきたさなくても、プロの歌手として自分の声をモニターしながら音程を維持するには少なからず影響があるのかもしれない。
あるいは自分でも声が出ないなとうっすら気がついてはいるものの、聴衆の耳にどんな音で届いているかが正確に把握できていないのかもしれない。自分の想像を超えて実力が減衰してしまっているのである。あるいは、過去の栄光が、現在のそんな自分を認めさせまいとするのかもしれない。
そんなことを考えていて、それと同じことが企業でいつまでも社長や会長の席にしがみついて退かない大御所の中で起きているのだと感じた。彼らはまさかそこまで歌が下手になっているとは、まさかそこまで仕事上の自分の判断がトンチンカンになっているとは気づいていないのだろう。余計なプライドが邪魔をするのかもしれない。
誰かが教えてあげるべきだ、というのはその通りだけど、下手に教えて逆上されてはたまらない。優秀な指導者は若い手下や仲間を育ててそばに置いてる、彼らといろいろ話す中で自分の引き際を悟ってきたのだろうね。
申し訳ないが、声が出ないあなたはもう退いてほしい、そういうのを老害と言うのだと思う。
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