sibahama

 酒浸りの夫を立ちなおらせた夫婦の愛情を暖かくあらわして、古典落語ではいちばんの人情噺として知られている。僕らもあやかりたいような、ステキなおはなし。
 魚屋の勝五郎、腕はいいし人間も悪くないけど大酒のみで怠け者。金があるだけ飲んでしまい、仕事もろくにしないから、店賃もずっととどこおっているありさま。今年も師走で年越しも近いというのに、相変わらず酒浸りで仕事を休んでる、女房の方は今までガマンしていたけれど、さすがにいても立ってもいられなくなりって真夜中に亭主をたたき起こして、このままじゃ年を越せないから魚河岸へ仕入れに行っておくれ、っとせっつく。勝五郎はしぶしぶ天秤棒を担いで追いだされるように出かける。
 芝の海浜で顔を洗おうと波打ちぎわに手を入れると、なんか触るものがある、ひろってみるとボロボロの財布らしく、中をさぐると42両もの大金。家にとって返して女房の尻をたたいて酒を買ってこさせ、そのまま酔いつぶれて寝てしまう。
 不意に女房が起こすので目を覚ますと、年を越せないから仕入れに行っておくれと言う。金なら42両もあるじゃねえかってしかると、どこにそんな金があるのさ、おまえさん夢でも見てたんだよ、思いがけない言葉。
 さすがに勝五郎も自分が情けなくなって、その日から酒はきっぱりやめて仕事に精を出しましたと。それから3年。すっかり改心して商売にはげみ、小さいながら店を構えるようになりました。
 大晦日、片付けも全部すまして夫婦水入らずというときに、女房が見てもらいたいものがあると取り出したのはまぎれもない、あの3年まえの42両。
 金を拾ったのは夢だったの一点張りでかくし通してきたけれど、好きな酒もやめて懸命に働くのを見るにつけ、辛くて申し訳なくて、陰で手を合わせていたと泣く女房。
 勝五郎は、とんでもねえ。
 おめえが夢にしてくれなかったら、今ごろおれの首はなかったかもしれねえ。手を合わせるのはこっちの方だよ。女房がもうおまえさんは大丈夫だから飲んどくれと酒を出した、勝五郎は、そっと口に持っていこうとするが、よしておこう、、また夢になるといけねえ。

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