被災地には「心のケアチーム」とか「傾聴ボランティア」とか、精神科医とか臨床心理士などの精神医学のプロだけでなく、アマチュアのグループが数多く入っていて避難所を巡回しているのだと。さらに、既存の宗教やら怪しい新興宗教団体の布教活動、さらには政治団体やら、野放しの怪しいNPOなど。

 でもね、被災者が皆、単純に他人に「助けてもらいたいと」思っている訳ではない、ってことがなぜ判らないんだろう。否、彼らは十分に判っているんだろう。それにも拘らず、やっちまうんだよなあ。なぜなら「精神的に傷ついた人に対して、自分たちの行為が全面的に善意で、手助けになると信じているから。

「私たちはXXXというボランティアです。きっとお辛いでしょう・・・」
「まあね、ツライよねえ」
「でも、言いたい事をいわないといけないわ。吐き出さないとストレスでコンナ事やアンナ事がおこってしまうのよ・・・」
「何があったの?辛かったでしょう、私に良かったら話してくれませんか???♡」
泣き出す被災者。。。

 あのねえ、傷口に塩を塗り込むようなことは止めて欲しいと思う。やっと立ち直りかけている人を泣かせる事は無いだろう。

 本当に必要な人に必要な治療を本当のプロがするべきだと思う。でも、この本当のプロっていうのがまた問題で、「勘違いしている」人たちが多くて、その事実を認めたくないんだろう。こういうのを災害医療の世界では「人的二次災害」っていうのだけどね。

 これは久里浜病院に僕を入れてくれた、尊敬するの総合診療系外科医の医師が津波をもろに被った過疎の町にチームを組んで行ってきた、その体験報告でのお話。